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N0-5 NEW!岩倉塚古墳
岩倉塚古墳は、大野原古墳群を構成する4基目の古墳として、令和2年3月10日に国の史跡に追加指定されました。
6世紀後葉に築造された、周濠を持たない直径36.4~38.2メートルの円墳で、隣接する椀貸塚古墳の外濠に一部被さるようにして築造されていることが分かっています。
埋葬施設は、横穴式石室を東西2基備えていたことが明らかになっています。西石室は、死者を横たえる玄室の一部のみ残存しており、その長さは4.4~4.5メートルを測ります。東石室は現存していませんが、石材が抜き取られた跡などが発掘調査で見つかったことから、その存在が判明しました。
岩倉塚古墳は、椀貸塚古墳にくらべて石室規模は小さく、周濠も持たないため、椀貸塚古墳に埋葬された人物の身内、又は仕えていた者が埋葬される「従属墳」ではないかと考えられています。椀貸塚古墳と岩倉塚古墳との間に見られるこの「主-従」の関係性は、大野原古墳群の形成過程で、すでに階層構造が存在したことを示しています。
なお、過去に行われた発掘調査の際、石室の内部からは、その一つ一つに「法」「佛」など、仏経に関係する文字が書かれた玉砂利が大量に見つかっています。これは「一字一石経」と呼ばれ、江戸時代の人々が願いを込めて納めたものであることから、岩倉塚古墳は地域の人々の信仰の対象になっていたと言えます。
慈雲寺の敷地内にある岩倉塚古墳は、今も宗教的佇まいの中で、地域の人々を静かに見守っています。